写真の説明
2012.01.23 Monday
写真の中央には一人の男が立っている。
彼は、古い家具のたくさん積まれたこれまた古いトラックにもたれて
煙草に火をつけようとしている。
写真の左手には、古い家が立ち並んでいる。
彼は今日、ここから旅立つ。
今まで彼は長く女房と二人でここに住んでいたのだが、
数か月前に彼女が死んでからは独りだった。
つい先日都会に住む息子から、こちらで家族とともに暮らさないかという連絡を受けた。
昔はここに家族全員がそろっていた。
両親がいなくなり、一人息子が進学に伴ってここを出るまでは。
家を出た後は一向に戻る気配はなく、連絡もたまによこすくらいだった。
ずいぶん前に、結婚したという連絡をもらったが、妻を連れてきたのはほんの数回だ。
二人になってからは静かに暮らしてきた。
少ない給料ではあったが二人で暮らしていくには足りないことはなかった。
苦労をかけた女房はいつも、自分のことは二の次で、
最期まで彼の心配ばかりだった。
彼女とともに暮らしたこの家を離れることは彼にとって大きな喪失であった。
思い出を半分だけ引き連れて、
彼は今日、ここから旅立つ。